薬を飲むと体調が変化?高齢者に多い副作用のサインと専門家への相談のタイミング
薬は、私たちの体調を整えたり、病気の治療を助けたりするために欠かせないものです。しかし、薬には「副作用」といって、本来の目的とは異なる好ましくない体の変化が起こることがあります。特に高齢者の方の場合、若い頃とは体の仕組みが異なるため、副作用が起きやすかったり、症状に気づきにくかったりすることがあります。
この変化を「年のせいかな」と見過ごしてしまうと、適切な対処が遅れる可能性もございます。この記事では、高齢者の方に起こりやすい薬の副作用のサインと、気になる症状があった時にどのように対応し、専門家に相談すれば良いのかについて、分かりやすくご説明いたします。
高齢者で副作用が起きやすい理由
高齢者の方に副作用が起きやすいのは、いくつかの要因が関係しています。
- 薬の代謝・排泄能力の変化 年齢を重ねると、薬を体内で分解したり、体外へ排出したりする臓器(主に肝臓や腎臓)の機能が、若い頃に比べて低下することがあります。これにより、薬が体内に長く留まりやすくなり、効き目が強く出すぎたり、副作用につながったりすることが考えられます。
- 多種類の薬を服用している影響(多剤併用) 複数の病気を抱えている場合、何種類もの薬を同時に服用することがあります。薬の種類が増えると、それぞれの薬が体内で相互に作用し合い、予期せぬ副作用を引き起こすリスクが高まります。
- 体の感覚の変化 体調の変化を感じにくくなったり、症状をうまく伝えられなくなったりすることもあります。そのため、ご自身では気づきにくい症状が、実は副作用であるというケースもございます。
「これって副作用かも?」と感じる主なサイン
いつも飲んでいる薬なのに、最近どうも体調がおかしいと感じたことはありませんか。以下のような体の変化は、薬の副作用である可能性も考えられます。
- だるさ、眠気、ふらつき 日中も眠気が続く、体がだるくてやる気が出ない、立ち上がった時にふらつく、めまいがするなどの症状は、一部の薬の副作用としてよく見られます。転倒のリスクにもつながるため、特に注意が必要です。
- 口の渇き、便秘、尿が出にくい 口の中が乾燥する、便秘がひどくなる、尿の出が悪くなるなど、体の水分バランスや排泄に関わる変化も、薬が原因で起こることがあります。
- 胃の不快感、吐き気、食欲不振 胃がもたれる、ムカムカする、食欲が落ちるなどの症状も、多くの薬で見られる副作用の一つです。
- 発疹、かゆみ 皮膚に赤い発疹が出たり、かゆみを感じたりする場合も、アレルギー反応の一種として薬の副作用が考えられます。
- その他 手足のむくみ、動悸、耳鳴り、気分が落ち込む、興奮するなど、薬の種類によって様々な症状が現れる可能性があります。「いつもと違うな」と感じる体の変化があれば、それがどんな些細なことでも意識してみましょう。
副作用に気づいたら、まず落ち着いて確認すること
気になる症状に気づいたら、焦らずに以下の点を確認してみましょう。
- 新しい薬を飲み始めた、または薬の量が変更されたタイミングはいつか 副作用は、新しい薬を飲み始めた直後や、薬の量が変更された後に現れることが多いです。いつから症状が出始めたかを振り返ってみましょう。
- 市販薬や健康食品を服用していないか 病院で処方された薬以外にも、ご自身で市販薬を飲んだり、健康食品を利用したりしている場合、それらが処方薬と相互作用を起こし、副作用のような症状を引き起こすこともあります。
- 症状はどのくらい続いているか、どんな時にひどくなるか 症状の程度や持続時間、特定の時間帯や状況で悪化するかなどを具体的に記録しておくと、専門家への説明に役立ちます。
専門家への相談が大切な理由と伝え方のポイント
「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮してしまい、我慢してしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、副作用の症状をそのままにしておくことは、別の体調不良につながる可能性もあります。少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医師や薬剤師に相談することが大切です。
- なぜ相談が大切なのか ご自身で「副作用かも」と判断して薬の服用を止めたり、量を減らしたりすると、本来の病気の治療に悪影響が出る可能性がございます。専門家は、症状が本当に副作用なのか、それとも他の原因があるのかを判断し、適切なアドバイスや処方の調整を行ってくれます。
- 相談時の伝え方のポイント
具体的な情報を伝えることで、より正確な判断につながります。
- いつから、どんな症状が、どのくらい続いているかを具体的に伝えましょう。
- どの薬を飲み始めてから、または量を変更してから症状が出始めたかを伝えると、原因特定のヒントになります。
- 薬手帳を持参しましょう。服用中のすべての薬が一覧で確認できるため、医師や薬剤師が状況を把握しやすくなります。
- ご自身での説明が難しい場合は、ご家族に付き添ってもらうことも有効です。
専門家は、あなたの薬物治療を安全に、そして効果的に進めるための大切なパートナーです。気になることがあれば、どんな小さなことでも遠慮なく質問してみてください。安心して薬と付き合うために、専門家を上手に活用していきましょう。